テキストサイズ

雨とピアノとノクターン

第4章 出会い編:権力者

 副理事長はポツリポツリと話しはじめた。創設以来、優秀な学園出身者が政界に進出していること。それによって闇資金の流れもまことしやかに存在すること。反理事長勢力が、かつての卒園生と結託し、この学園を乗っ取ろうとしていること。
 僕の予想どおりの背景だった。
「…副理事長、ひとつ、お聞きしたいのですが?」
「…なんだ?」
「浦原一族は、学園の創立者の旧家系でしたよね?失礼ながら、副理事長と旧知の仲だと聞き及びました」
「…それがどうしたかな?」
「…何ゆえ、鳴海を亡き者にしようとしたか、お聞かせ願いたいのです」
「確たる証拠もない故、めったなことは言わぬ方が良いのではないか、会長…」
 副理事長は腕組みをしながら、僕の顔を威圧的に見つめた。
「…いえ、事故当時、メンテナンスの業者を案内し、セキュリティ解除をしたのは浦原誠二だと判っています。僕もあやうく騙されるところでしたよ。
何しろ、副会長の薬師寺は皮肉屋で、悪役に仕立てるにはうってつけですからね…」
「………なるほどな、お前さんがアタマがキレるというのは、そういうわけか」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ