雨とピアノとノクターン
第1章 出会い編:金髪の野良猫
「…そ…そうなのか。悪りぃ…オレ、てっきり…その…金持ちのいけ好かないボンボンだとばっかり思っていたから」
デリカシーのないヤツだと思ったけれど、鳴海は意外に優しい面を持っていた。
「…風邪ひきそうなところ…わざわざありがとな…。見ず知らずとはいえ、やっぱ…生徒会長だけあるよな…。学ラン着てたからバッジで判ったのか?」
鳴海はバスタオルを羽織り直すと大きなくしゃみをした。
「……いや、制服も確かにそうだけれど…、君の姿はよく、生徒会室から見かけたことがあったから」
僕は思わず、本当のことを言ってしまった。鳴海は不思議そうに僕を見つめた。
「…なんで…オレのこと覚えて…?」
それは…僕が自分に聞きたいセリフだった。何故、彼のことがこんなに気になるのだろうか?と。
「……別に。僕の…気まぐれだから気にしなくていいよ…。それより、風邪をひくだろうから、シャワーを使ってくれても…かまわないから…。その通路の奥が、バスルーム…」
僕はまるで自分の心を覗かれるのを拒否するかのように、彼をバスルームに追いやった。
何故、彼を拾ってきたのだろう?
何故、彼のことが気になるのだろう?
何故、彼のことを覚えていたのだろう?
解らないことが…気持ち悪くて不快だと思った。
デリカシーのないヤツだと思ったけれど、鳴海は意外に優しい面を持っていた。
「…風邪ひきそうなところ…わざわざありがとな…。見ず知らずとはいえ、やっぱ…生徒会長だけあるよな…。学ラン着てたからバッジで判ったのか?」
鳴海はバスタオルを羽織り直すと大きなくしゃみをした。
「……いや、制服も確かにそうだけれど…、君の姿はよく、生徒会室から見かけたことがあったから」
僕は思わず、本当のことを言ってしまった。鳴海は不思議そうに僕を見つめた。
「…なんで…オレのこと覚えて…?」
それは…僕が自分に聞きたいセリフだった。何故、彼のことがこんなに気になるのだろうか?と。
「……別に。僕の…気まぐれだから気にしなくていいよ…。それより、風邪をひくだろうから、シャワーを使ってくれても…かまわないから…。その通路の奥が、バスルーム…」
僕はまるで自分の心を覗かれるのを拒否するかのように、彼をバスルームに追いやった。
何故、彼を拾ってきたのだろう?
何故、彼のことが気になるのだろう?
何故、彼のことを覚えていたのだろう?
解らないことが…気持ち悪くて不快だと思った。