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雨とピアノとノクターン

第7章 文化祭編:ラストダンス

その夜は佐屋の予告どおり濃密な夜になった。予想だにしていなかった鳴海
の情熱が、佐屋に火をつけてしまったようだった。
 家に帰ってくるなり、佐屋は鳴海のことを力いっぱい抱きしめた。普段几帳面な彼からは想像出来ないほど焦りながら、玄関の靴は脱ぎ散らかし、鞄も置いたまま、フロアを移動しながら、転々と服を脱ぎ散らかしていく。
 よくぞ今まで我慢していた…と佐屋は自分で思った。
 キスをしていないと死んでしまう…そんなふうに喩えられそうな勢いで佐屋は鳴海とキスをしながら寝室に移動する。
「……佐屋……腹減ってないのか?」
「……うん、ペコペコ」
「だったらさ、な?あとでシても…」
「…もうダメ。逃げたりしないでよ、鳴海。君がいけないんだよ?…あんなふうに学内でキスされたら…僕はどうにかなりそうだったよ…それに、鳴海から求めてくれるなんてこれは生徒会で頑張ってるご褒美だろう?」

 ベッドに行くまでももどかしく思えてしまう。

 そんな風に自分を強く求めてくれる佐屋のことを、鳴海は可愛いと思えてしまった。

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