雨とピアノとノクターン
第8章 暗躍編:生徒会長失脚計画
薬師寺宏はとても不機嫌だ。数か月前までは流れが確実に自分側にあると思っていた。現生徒会長の佐屋が金髪で素行の悪い不良と同棲している、という情報を得てすぐに彼が失脚すると思っていたのだ。ところが佐屋は失脚するどころか副理事長のクーデターを未然に防ぎ、尚且つその不良と称された鳴海の後見人という堺屋源一郎氏を味方につけたのだ。陥れるつもりがむしろ自分の立場が危うくなる寸前であった。
ここは青葉学園から少し離れたクラシカルなカフェ・黒猫。ノスタルジーな木造建築の2階建てで照明が落とされた落ち着いた店内は、ほぼ常連の客が出入りしている。アーチ型の屋根で覆われた二階席はゆったりとカーブを描いた階段を上り、各テーブルに小さなランプが置かれ、クラッシック音楽が流れている。
薬師寺は金曜の午後、必ずここである人物と落ち合うことにしている。それは青葉学園風紀委員長、浦原誠二だ。
「遅いじゃないか、浦原君。いつも時間通りに来る君が…何かあったのかい?」
最近の苛立ちを隠せない薬師寺をけん制するように誠二は表情ひとつ崩さない。
「副会長殿の野心はまだ潰えてはいないようで何よりだ」
浦原が椅子に座ると、ウェイターが注文を取りにやってきたので彼はダージリンのストレートを頼んだ。
ここは青葉学園から少し離れたクラシカルなカフェ・黒猫。ノスタルジーな木造建築の2階建てで照明が落とされた落ち着いた店内は、ほぼ常連の客が出入りしている。アーチ型の屋根で覆われた二階席はゆったりとカーブを描いた階段を上り、各テーブルに小さなランプが置かれ、クラッシック音楽が流れている。
薬師寺は金曜の午後、必ずここである人物と落ち合うことにしている。それは青葉学園風紀委員長、浦原誠二だ。
「遅いじゃないか、浦原君。いつも時間通りに来る君が…何かあったのかい?」
最近の苛立ちを隠せない薬師寺をけん制するように誠二は表情ひとつ崩さない。
「副会長殿の野心はまだ潰えてはいないようで何よりだ」
浦原が椅子に座ると、ウェイターが注文を取りにやってきたので彼はダージリンのストレートを頼んだ。