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怒りの形相で睨みつける先ほどの青い瞳が間近にあった。これは驚いた！まるで双子のように鳴海に似ている。だが、よくよく見ればやはり鳴海ではなく他人のそら似だった。瞳の綺麗な色が怖いくらいによく似ていた。
　眼鏡の奥から、彼の眼をじっと佐屋は見つめる。
「なんか文句あンのかって、聞いてるだろッ？口きけねーのかよッ？」
　粗雑な口調。それに相反する美しい瞳と髪の色。驚くほど鳴海に似ている。
交互に視界に入ってくる「彼の視覚情報」。
　乱暴に壁に押し付けられた衝撃で、ずり落ちた眼鏡を、佐屋は架け直す。ただ、されるがままでいるのは、敢えて《《出方》》を伺い、様子見をしているだけだ。佐屋が本気になれば、鳴海には内緒だが、簡単に彼を封じるだけの武道に秀でていた。
「コイツ女みてーじゃね？ほっとけよ…」
　佐屋の見た目の体格が細いせいか大概の人間は油断している。
「しかもこの制服、青葉学園だろ？ベンキョしか出来ねー奴だぜ？」
「カモるにしても、もっとお坊ちゃんガッコの奴を狙おうぜ、大我！」
　≪金髪の彼≫の取り巻き連中が、口々に間に入ってきたことで、佐屋はトラブルを回避出来たのだった。