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そうか…彼の名前、≪大我≫っていうのか。
「そんな奴、ほっといてゲーセンでも行こうぜ？」
「えー？オレ、ダーツバーがいいんだけどな」
「退屈しのぎになんなら、何だっていいぜ」
　それらの会話に大我の興味は向いていった。そして佐屋を解放しながら捨て台詞を吐く。
「てンめ…、今度ナメたマネしたら、承知しねーぞ…」
（……出会った頃の鳴海みたいだな。それにしても…瓜二つじゃないか）
　佐屋はつい顔がほころんでしまう。それを見逃さなかった大我はまた佐屋の襟を掴みかけた。
「………すまない、僕の知り合いにあまりにも似ていたものだから…」
　背中を向けた大我に、佐屋はそう言った。彼の声を初めて聞いた大我は、先を歩いていった仲間をチラっと目で追いながら、また佐屋に振り向く。
「……ボサっとしてんな……ヤローのくせに女みてぇにしてると、今度こそボコられっぞ……」
　そう言い残した大我は、仲間を追って走り去った。
　佐屋はホッ…と溜息をついた。
　乱暴な扱いを受けた割には、不思議な高揚感を覚える。
　
　……大我君か。フフフ、鳴海に言ったらどんな顔をするだろう？

　佐屋はその名を大事に記憶に焼き付ける。名前と共に強烈な印象も、胸の奥にヒリヒリとするような感覚で残した。