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雨とピアノとノクターン

第8章 暗躍編:生徒会長失脚計画

教師はその近隣の住人から送ってもらったスマホの写真を僕に見せた。確かにそこに映っていたのは、金髪の鳴海だ。
「ん………?」
 確かによく似ている。でも、首に茶色の痣がある。鳴海にはそれがないはずだ。
「先生、これは鳴海ではありません」
「そんなはずはないだろう!こんな顔は彼しかいないじゃないか」
「でも……鳴海は首に痣なんて」
 僕は言いかけて黙った。たしかに首の痣ぐらいなら大丈夫だったかもしれないが、僕と鳴海の関係をこれ以上詮索されるのは適切ではない気がしたのだ。
「先生……信じられないかもしれませんが、僕はこの男子に校外で会ったことがあります。鳴海に似ていたので驚いたことがあるのです」
「そんな…バカな。君こそ苦し紛れの庇いだてをすると良くないよ、佐屋」
「いえ、本当です。彼を僕は探しますから、彼が犯人だということがあきらかになったら、鳴海を許してもらえますか?」
「まぁ…そうせざるを得ないな」
「ありがとうございます。失礼します…」
 僕は生徒指導室を出たあと、渡り廊下へと移動した。

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