雨とピアノとノクターン
第8章 暗躍編:生徒会長失脚計画
中庭に出て暫く立っていると、背を向けて井野口が柱の陰から現れた。
「いつもすまないな、井野口」
「いえ、とんでもありません」
井野口は先祖代々から佐屋家に仕えてきた側用人であり、武門の家系だ。現代には似つかわしくない関係性ではあるが、井野口家は佐屋家に未来永劫仕えよ、と家訓になっているようで、僕の代で止めさせるつもりだったけれど、結局僕の影となり、協力関係にあるのだ。
「鳴海に似た男を捜して欲しいんだ。風貌は鳴海に双子のように似ていて、首に痣がある。名前は“大我”と呼ばれていた。素行は悪い」
僕は井野口に捜索の手がかりになりそうなことをいくつか挙げた。それを全て聞き終え、彼は即答する。
「彼なら、存じあげております」
「そうなのか?」
「はい。新宿北山工業高校の|坂下大我《さかしたたいが》かと存じます」
「驚いた!井野口も顔が広いな…」
さすがに驚きを隠せない。井野口はいろいろなネットワークを持っているが、まさかそれだけの手がかりでいとも簡単に所在を言い当てるとは思わなかった。
「いつもすまないな、井野口」
「いえ、とんでもありません」
井野口は先祖代々から佐屋家に仕えてきた側用人であり、武門の家系だ。現代には似つかわしくない関係性ではあるが、井野口家は佐屋家に未来永劫仕えよ、と家訓になっているようで、僕の代で止めさせるつもりだったけれど、結局僕の影となり、協力関係にあるのだ。
「鳴海に似た男を捜して欲しいんだ。風貌は鳴海に双子のように似ていて、首に痣がある。名前は“大我”と呼ばれていた。素行は悪い」
僕は井野口に捜索の手がかりになりそうなことをいくつか挙げた。それを全て聞き終え、彼は即答する。
「彼なら、存じあげております」
「そうなのか?」
「はい。新宿北山工業高校の|坂下大我《さかしたたいが》かと存じます」
「驚いた!井野口も顔が広いな…」
さすがに驚きを隠せない。井野口はいろいろなネットワークを持っているが、まさかそれだけの手がかりでいとも簡単に所在を言い当てるとは思わなかった。