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雨とピアノとノクターン

第9章 暗躍編:トラブルメーカー

浦原の言う“仕掛け”とは、大我を単純に煽って青葉学園で大暴れさせることだった。あれだけ《《彼》》と瓜二つなら、全校生徒が大騒ぎすることになるだろう。ならば、鳴海を擁護し続ける佐屋の立場は悪くなることが確実視される。彼はそれを当初から狙っていたのだ。
「ずいぶんと自信ありげなようだね。《《今回は》》期待していいのかな?」
 薬師寺はやや嫌味を込めて浦原に問いかけ、コーヒーを口にする。それに対してなんの返事もせず、浦原ただ、口の端を釣り上げてニヤリと笑った。

 佐屋輝の完敗した姿を眺めるのは、さぞかし気分が良いのだろうな。

 彼は心のなかでそう呟いていた。

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 そのころ、佐屋は井野口から今回の浦原の動きを既に情報として得ていた。
「なんだって…?浦原が?」
 自分に背を向けたまま、井野口は細やかに浦原が新宿北山工業高校の坂下大我を挑発した状況を説明する。
「このままでは、坂下大我は遅かれ早かれ、我が学園にやってくるでしょう。
短気でプライドの高い男ですから…」
「ああ、たぶんそうだろうな」
 佐屋は腕を組み、厄介なことになった…と思った。
「鳴海を……なんとかしなくてはならない。確かに停学処分になっているけれど、|大我《やつ》が襲ってきたら、鳴海と勘違いされても困るから…」

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