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雨とピアノとノクターン

第9章 暗躍編:トラブルメーカー

 大我はふと思い出したように佐屋に尋ねた。
「ちょっと聞きてぇことがあるんだが…」
「なんだい?僕に答えられることがあるのなら、答えるけど」
「お前んちの高校に浦原ってふざけた野郎はいるか?」
 浦原の名前を聞いた途端、佐屋は真顔になった。
「ああ、いるよ。うちの風紀委員長だ。過激なところもある。浦原がどうかしたのかい?」
「……繁華街で連れと一緒にいたら喧嘩ふっかけてきたんだよ。文句があったら青葉に来い、って言いやがった」
 佐屋はしばらく考え込むようにして黙っていたが、何か案でも思いついたのか、口元だけを吊り上げた。
「少し懲らしめてやろうか、アイツのことを」
「ほんとうか?だったらついでにやっつけてやりてぇ」
「ああ、ここは任せてくれないか?後日連絡する…」
 こうして、佐屋が新宿北山工業高校に出向いたことはなかなかの収穫を得たといえるものだった。

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