テキストサイズ

止まない雨はない

第2章 プリテンダー

耳元でそんな冗談を囁くタカシを、ルカは微笑んで目で追った。

その先にある、恥ずかしがりやの彼の瞳。涼やかで、優しくて…。


あなたが、大好きです、タカシさん……。

「……ルカ、もう待てないんだけど」

「………。」


返事をする代わりに、ルカはタカシの首に手をまわした。
交わりながら、自分が自分でなくなっていく、あの不思議な感覚を味わう。

「………オレのかわいい人。傷まで作ってその可愛い顔を
台無しにしようとするなんて……」

タカシは高揚する感覚を抑えるようにして、ルカの前髪をそっと分けてやった。

「……あなたを……すごく今は感じたいんです、タカシさん……」

それ以上は余計なことは言いたくなかった。
彼の望みどおり、タカシはルカを愛し続けた。

彼が乱れて、時折甘い声をあげると、タカシは我が事のように
綺麗な微笑を浮かべた。

衣擦れの音、ベッドの軋み、甘い吐息、背中に浮かんだ無数の汗の粒。


求め合えば求め合うほど、離れるのが怖くなる………。


最奥で欲望が解放され、二人は肌を合わせたまま、互いをみつめあった。


このときが、どうか永遠であって欲しい。





そんなふうに願わずにはいられない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ