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止まない雨はない

第10章 RE:

「はぁぁ……やだな……ごめんなさい」

自分が粗相したと心底思ったのだろう。ルカは両脚を窄ませ、
慌ててベッドサイドのボックスティッシュに手を伸ばす。

肩で息をし、少し気だるそうに見えた彼の表情がさらに妖艶に映り、
思わずタカシは彼をまたベッドへと押し戻した。

「あっ………」

その甘い衝動にルカは頬を染める。

「イクよ……オレも……」

タカシはルカの脚を強く掴み、腰の動きをリズミカルに速めていく。

「ああっ……さっき……射ったばかりなのに…」

泣き言のように聞こえたルカの声に、タカシは幸せそうに頷いた。

「また……勃ってきたんだ?……可愛いよ」

「男に可愛いって……似合わないです……」

「そんなこと………ない………くっ……ああ、気持ちいい……ルカ……まだ……イキたくないけど……………」

無我夢中でむさぼりつくようにキスをする。
昇りつめてその行き着く先に達するまで、ひたすらにじゃれあい、
ひたひたと肌を打ち合う。

「………オレ………かなりヤラシー男だ」

仰け反り、一旦呼吸を求めてルカの唇から離れると、
タカシは自虐的にくすくすと笑った。

「男はみんな………同じです」

再び手を伸ばし、ルカはタカシを自分へと引き寄せた。


「…………………!」

そのときふと耳をすませば、窓を打つ雨粒の音がかすかに聞こえてきた。

「雨ですね……」

「ああ……降ってたんだ」

「オレたちには……なんだかいつも泣いてくれているような空ですね」

「ふふ……ルカは詩人みたいに表現が上手い」

「タカシさんほどではないです。“止まない雨はない”……って」

「あれは……ユキトの言葉だ。オレじゃない」

「……でしたね。少し妬けます」

「それは……初めて聞いた。愛の告白と受け止めておくよ…」

「んんんん…………」

タカシはルカの口を熱をもってそのまま塞いだ。



恋人たちは固く結ばれながら、その雨音さえ心地よく耳を傾けていた。
何度も押し寄せる快感の潮にその身を震わせ、恥じらいながらも、
ふたりは翌朝には雨が止むことを信じていた。




the ende
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