担当とハプバーで
第6章 墓まで連れ添う秘密たち
二メートルはありそうなテレビには案内画面が光るが、ハヤテは興味なさそうにリモコンで電源を消す。
私の知ってるラブホじゃない。
安っぽいリゾート感じゃなくて、洗練されたデザインに、一つも不快がない香り。
「こ……こんなとこ、私」
「感想言うならこっち見てからにして」
ソファにキャップとアウターを置きながら、ハヤテが部屋の奥の扉に手招きをする。
初めて会った時の襟に赤いラインが入った黒シャツ。
黒の上下があまりに似合ってまじまじ眺めてしまう。
扉の先に踏み入れると、洗面台の隣のガラス戸の向こうにはお風呂、だけどその広さがおかしい。
温泉の一角のように寝湯と浴槽が並んでる。
さらにその奥は露天風呂になっていた。
遠近が狂ったように奥行きがすごい。
ジャグジーが光り、二十畳はありそうな空間にベッドが配置されている。
つい、部屋を振り返る。
中にも外にもベッドがある。
「なー。その反応になるよな」
ハヤテはおかしそうに笑いかけると、繋いでいた手をぐいっと引き寄せて、ブラウスの裾を掴む。
「早く脱いじゃえよ」
脅しを効かせるように低い声で。
その声好きって知ってるくせに。
震える指でボタンに手をかける。
洗面台にもたれたハヤテが見つめる前で脱いでいく。
スカートのジッパーを下ろして、足を抜いて、あとはショーツとブラだけ。
ただ脱ぐだけなのに、視線にゾクゾクしてしまう。
暖房は効いているけど、鳥肌立つ。
「何止まってんの。最後まで脱いで」
躊躇ってるのを容赦なく。
知らなかった。
脱がされるよりも脱ぐ方が、興奮する。
ハヤテを見上げながら、ブラのホックを外す。
ふっと楽になった胸が冷気にさらされる。
片腕で両胸を隠しながら、ショーツをずらす。
やばい。
もう濡れてる。
糸が引いているのをバレないように、そっと手のひらで掴みながら片足ずつ抜く。
部屋と風呂と違って洗面所の照明は明るい。
どこも隠せない。
早く何か言ってと懇願してハヤテを睨む。
つま先から頭までゆっくり眺めてから、ハヤテが近づいて来た。
「次は俺のシャツ脱がせてくれる?」
全裸の私と違って余裕綽々。
恥と悔しさが入り混じった感情で、ハヤテのシャツに指をかけると、するりと腰をなぞられて跳ねてしまった。
「止まんなって」
ああ、意地が悪い。