担当とハプバーで
第2章 危険な好奇心
駅前のジムの体験を終えて、シャワーも済ませて帰宅した土曜日の正午。
前日遅くまで飲んで、ようやくゾンビのように起きてきた祥里に気持ちが濁る。
「早起きじゃん。朝食でも買いに行ってたの」
「ジムに走りに行ってきただけ」
「へー。痩せなくてもいいのに」
あんたの為じゃないし。
帰り道に買ったサンドイッチを皿にあけて、コーヒーを注ぐ。
顔も洗わず祥里は席に着いた。
「ツナサンドがいいな」
「はい、どうぞ」
モクモク食べる姿も昔は可愛いとか思っていたのかもしれない。
剃られてない髭が不快でしかない。
「午後は映画でも見に行くけど、凛音は?」
行くの行かないの、でさえも口を動かすの面倒くさいのかな。
「何観るの」
「インドの。流行ってるやつ」
「長すぎるからいいや」
無理して合わせることも無くなった。
それなら家でドラマを見ていたい。
「そっか」
欠伸をしながらどうでも良さそうに。
食べ終えると、お腹を掻きながら寝室に戻って行った。
また一眠りでもしそうな勢いだ。
食器を片付け、予約した洗濯物を干す。
ジムのトレーナーいい感じだった。
明るくてサバサバしてる女性は、なかなか出会うことがないから。
食事も気をつけるとより体が引き締まると喝を入れられたので、早速サラダチキンとアボカドサラダを夜のために仕込むことにする。
午後は化粧品を買いに行こうかな。
悩んでいると、携帯の通知が鳴った。
急いでパスコードを入力する。
開くと、ハヤテからのメッセージ。
「今週水曜はコスプレイベントあるよ。期待しないくらいがちょうどいいレベルのヤツ。混むから動画上がって様子見るでもいいし。また早く話したいな。月曜なら長めに話せるから、楽しみにしてる」
営業メールとはわかってる。
でもそのラフな文面に、特別感を感じて読み返してしまう。
なんて返信しようかな。
ジップロックに調味料とむね肉を入れて、揉みしだきながら考える。
月曜か。
週明けすぐに行くのは予算オーバー。
でも来週っていうのも遠い。
イベント……
初心者が行ってもいいのかな。
コスプレ何するんだろう。
気になる。