月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第11章 暗殺部隊
ふたりは手を繋いだままエレベーターに乗り込んだ
地下通路を往復する小型のシャトルバスのようだ
他に人影もなくふたりはちょうど発車直前のシャトルに乗り込んだ
「これで少しは時間が稼げそうだ
さっきの話しだけど〈エターナル計画〉とか〈ストーム計画〉というのはネオ・ジオンと関係しているのかい?」
「ネオ・ジオンじゃないわ、もっともっと昔から稼働しているわ
特に〈エターナル計画〉は一年戦争よりもずうっと前から始まっているのよ
ニュータイプのように〈新しい兵士〉を生み出すための技術よ
私なんてそこの末端にしか過ぎないわ
そしてその〈新しい兵士〉が〈新しい兵器〉を与えられる……それが〈ストーム計画〉
新兵器〈ストーム〉それがわたしの手足となるの
あなたはその〈ストーム〉を探しに来たのでしょ?
テロリスト呼ばわりされている二人は私に巻き込まれただけのただのアナハイムの社員よ」
コーエンは目の前の幼い子供が淡々と話す内容があまり理解出来なかった
ただ
この女の子が普通の暮らしをしてこなかったことだけはわかった
コーエンは少女の生い立ちを想像するだけで胸が締め付けられ、自然と涙がこぼれた
「あなたが泣く事は無いのよ、コーエン」
キアラは目の前の少年兵が優しすぎると思った
「私は強いチカラを手に入れている
弱い人間ではないわ」
「キアラ、これからどうするつもりなんだ?」
「無用な争いに巻き込みたくはなかったから隠れていたけど、もう時間が無さそうね
私は地球に行かなければならないの
私はそのために生まれてきた」
数刻後、隣のブロックに到着したシャトルからふたりは降り立ち雑踏の中をかき分けて消えていった