月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第11章 暗殺部隊
コーエンとキアラは路地裏を抜けてスラム街を通り、地下通路までたどり着いた
この通路は隣の区域、一般居住区へ向かえる
繁華街やスラムと異なり自治政府の主要施設や一般民間人が暮らしている
〈アガルム〉の街の中心部だ
「キアラ、そっちへ行くとボクラの宿から離れてしまうよ?」
「……もし尾行けられていたら、このままこのブロックから離れたほうがいいと思うの
宿にはお兄ちゃんたちが残っているし…
コーエンの部屋にもお姉チャンがケガで動けないんでしょう?」
「尾行けられてるだろうか?
そうだね……特殊部隊のようだったし…
ボクの名前も知っていた……
知っていて、殺そうとしたな……」
「コーエン、あなた連邦軍なの?
アイツが名前を知っていたってことは本当は同じ連邦軍ってことなんでしょう?
じゃあ、お姉さんっていうのも同じ連邦軍兵士なのね」
コーエンは無言で地下通路を向こうを見つめていた
〈そうだ、キャロラインさんはまだ動けない〉
尾行されていれば、このまま暗殺部隊を連れ帰るわけにはいかないのだ
「行こうキアラ」
彼は決心したように地下通路へ向かうことにした
キアラの手を繋いで隣のブロックへ向かう
「否定しないってことは連邦軍なのね」
「ああ、この先のブロックには姉の機体…、
同僚の機体が残してあるはずだ
ボクの機体はこちらに隠してあるが、このまま取りに行くのは危険かもしれない」
「連邦軍の兵士に連邦軍の暗殺部隊、それにグラナダのネオ・ジオン追跡者、そしてアナハイム社か、だんだん引き連れていく者が増えてきたな」
「アナハイム? キミのお姉さんやお兄さんの仕事ってのはアナハイム社なのか?
それに……キミ、ただの子供じゃないだろ?」
「そぉね、子供扱いしてくれるのはコーエンぐらいね」
「ボクたちの部隊はグラナダから逃走した新兵器とテロリストの捜索だった
それはどうやら高度機密のようだ
同じ連邦同士でも争奪戦になっているぐらいだからな
キミ、〈強化人間〉なのか?」
「ふふふ、それが人為的に作られたという意味なのなら答えは〈YES〉よ
でも人工ニュータイプというなら〈NO〉ね
私は〈エターナル計画〉から派生した〈ストーム計画〉のために生み出されたの」