月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第12章 メテオシュタイン
月の裏側の巨大な地下都市〈グラナダ〉
連邦軍の目が行き届かない反抗勢力の街
元々はスペインのアンダルシア地方に位置する中世から存在する歴史的な古代遺産を有する街〈グラナダ〉から名をとられた
月の表側のフォン・ブラウン
裏側のグラナダ
このふたつの巨大な月面の地下都市は重要な前線基地でもある
元来はスペースコロニー建造のための資源鉱山だった
古くはキシリア・ザビ突撃軍基地、
また終戦協定を結んだ地として知られている
元々ジオニック社の兵器工場があり、それらをアナハイム社に移管したあとも高い技術力を維持している
そのような立地と歴史から新たに発足した〈ネオ・ジオン軍〉とは関係が深い
またネオ・ジオン軍を支援する民間組織〈キサンドリア〉も民衆に根付いていた
今回のテロリスト騒ぎは〈キサンドリアの反乱〉としてセンセーショナルに報道されたが急速に事態は収束した
テロリスト騒ぎを起こした一部のアナハイム社スタッフに厳罰は免除され、代わりに〈キサンドリア〉への忠誠を強いられてしまう結果になったのだ
アナハイム社グラナダ工場のエースパイロット、ダイアナ・ギルスベルゲンを筆頭に作戦行動に参加したメンバーは監視下に置かれてしまった
以前と変わらず試作機のテストパイロットとしての任務を繰り返している
今日も新兵器〈メテオシュタイン〉の何度目かのバージョンアップモデルを精査していく
「ダイアナ!それではもう一度変形パターンを繰り返そう」
「わかったわ」
ダイアナは言葉少なめに基地からの無線に応える
複座式のコックピットシートにはダイアナと後輩のアンバー・ブールバイとともに反復訓練を行っていた
月面のクレーター沿いに滑空する飛行形態の〈メテオシュタイン〉はクレーターの内側の絶壁を物凄いスピードで降りていく
「ダ…、ダイアナッ!?」
たまらず新人のアンバーが悲鳴を上げる
「変形するわよッ!!」
クレーターの底に激突する直前!
三角形のシルエットの機体から腕が伸びる!
両腕には携帯タイプの質量バズーカを携えている
瞬間的に変形する
宇宙戦闘機の高速機動性と、モビルスーツの汎用性を両立させた「ガラクスイシリーズ」がダイアナの担当だった