テキストサイズ

月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第12章 メテオシュタイン


ダイアナ・ギルスベルゲンは研究所の中でも浮いた存在だった


まだ一年戦争が始まる片鱗さえ無い時代



サイド6の研究所で被検体として生活していた


当時のプロジェクトリーダーはドクター・キンバリーと呼ばれる女医だ


彼女の研究はアルツハイマーに関する症例から派生した〈反射反応〉からスタートした、と聞かされている


研究そのものは人間の生理的な純粋なものであったが、出資社の思惑は別にあったと思われる


強力なスポンサーは軍事企業が多く、その価値と評価はドクター・キンバリーの本来の目的を忘れさせるくらいの圧力があっただろう


〈究極の兵士〉


結局はテクノロジーの向上の背景には戦争の影響が反映していた



〈エターナル計画〉


若い人間、それも思春期前後の子供たちを対象に素早い判断、素早い運動神経を〈究極〉ともいえるレベルまで引き上げた結果、〈不老〉という副産物を得ることになる



実際には〈不老〉ではなく〈老化の遅延化〉であったのは後になってからのこと


そのような子供たちはかりが暮らす被検体のグループの中で、ダイアナは明らかに〈オトナ〉だったのだ


すでにハイスクールも卒業し、将来への投資として研究所への被検を受けたのだ



それほどダイアナの成果は、成熟していたにも関わらず類まれない反射神経を要していた


本格的に〈エターナル計画〉へ参加するようになり彼女は成人直後の年齢で身体的固定という結果になった



他の被検体の子供たちは14歳から17歳程度の外見で固定していたため、ダイアナだけ周りから浮いていたのだ



そのころ一年戦争が始まり、プロジェクトはフラナガン機関に移管することになる


当時、プロジェクトの第一ステージのメンバーが解散


その第二ステージの新メンバーとしてダイアナが選ばれたのだった


初期ロットのメンバーはアレク、シンシアといった超人的な才能を持った〈戦士〉を生み出していた


次世代メンバーはその重圧の中で日々辛い訓練を受けていた


そのプレッシャーを発散するかのようにダイアナは性欲をぶつけていく生活に変化していった……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ