
月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第12章 メテオシュタイン
翌日
ダイアナはマルコ・ホイバウムに叩き起こされ、朝のセックスに付き合わされてから、部屋を追い出された
どうやら本命の彼女がやって来るメールが届いていたようだ
部屋着のようなTシャツ短パン姿のままタクシーに乗り込む
怪訝そうな運転手を無視して自分の部屋に戻ってきた
再びベッドの上に飛び込み、泥のように眠る
全身が重い
筋肉痛がひどい
ここまで身体を酷使したのは久しぶりだ
夢うつつに意識が飛びそうな状態でうつらうつらと睡魔に襲われているとき、部屋の端末のブザー音が響く
〈……なんだよ、もう…、勘弁してよ〉
無視を続けるが、いっこうに止む気配がない
仕方なく端末を手にする
アナハイム社の企画室からだ
どうせスティーブン室長だろう
仕方なく回線を開くことにする
「ダイアナ、休みのところ悪いが緊急の出撃命令だ、同じく公休のマルコ・ホイバウムもこちらに向かってもらっている
詳細は格納庫で伝える
大至急、こちらに向かってくれッ!」
スティーブン室長の緊迫した声と張り
そして背後のざわついた様子
なにかあったに違いない
仕方なくのっそり身体を起こし、夢遊病者のようにふらふらとバスルームへ向かった
まともに目も開けられない
全身が生臭い
ケダモノのにおい
洗っても、洗っても
臭いはとれない
〈ああ、昔もこんなことあったなぁ〉
ダイアナは思春期の年代に過ごしたフラナガン機関での生活を思い出していた…
