月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第13章 マスドライバー
モビルスーツ格納庫の外側で響いた銃撃戦
その音を聞きつけて職員やスタッフが駆け寄る
血だらけの子供
這いつくばる男
「どうしたんてすかッ!?ダイアナさん!」
メカニックマンが青ざめて問いかける
「私にもわからないよ、外の空気を吸いに来たら男が子供を撃ち殺そうとしていたんだ
でもコイツはただの暴漢じゃない
連邦軍の諜報員だ、気をつけろよ?
縛っても脱出するよう訓練されているだろうし、拷問する前に自分の舌を噛み切るよ?」
男は縛られ、口にものを入れ込まれ、目隠しもされて連れて行かれた
「子供のほうはどうなんだ?
その女の子は私の知り合いなんだッ!」
「出血がひどい、医務室から応急処置はしてみたが病院に運ばないと…」
「………わかった」
ダイアナは大勢の大人たちに囲まれたキアラに近寄った
「……わたしを覚えている?」
「ええ、スコットたちと一緒に地下の格納庫に来たヒトね、ダイアナだった?」
ダイアナは皆に声を掛けて、話しがしたいから離れてくれとお願いした
キアラの口元に顔を近づける
「スコットとクレアは?無事かい?」
「ええ、街に隠れてる、それよりダイアナ
お願い、わたしを〈ストーム〉に連れて行って、アレを動かさないと…」
「キミ、重症みたいだよ?」
「大丈夫、あそこには医療カプセルがあるし、万が一私が駄目になっても代わりが居るもの」
「そんなこと、言うな
わかった、何とかしてやる」
ダイアナは遠巻きに下がっていた職員たちを呼び戻す
「救急車を今から呼んでいては間に合わない、私が連れて行く、わたしの〈メテオシュタイン〉の整備は終わった?」
皆が協力して血だらけの少女を板に乗せ、格納庫へ運び込む
キアラはコーエンを近くに招き、コソコソと話しをし、コーエンは黙って頷いた
そのドタバタした格納庫からコーエンはこっそりと立ち去るのだった…