月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第13章 マスドライバー
コーエンは緊急を要し、街のタクシーを捕まえると隠れ住んでいた宿屋までまっすぐ戻ってきた
仮に誰かにつけられていたとしても仕方がなかった
どのみちこのアガルタには居られない
「キャロラインさんッ!」
「わぁッ!ビックリしたッ!驚かさないでよ、コーエン」
「ターゲットと接触しました、此処を離れます!大至急、10分で離脱します」
のんびり端末でニュースを見ていたがコーエンのただならぬ態度を見てキャロラインも状況を理解した
「わかったわ」
「準備を進めて下さい、すぐに戻ります」
コーエンはいちど部屋を出て、上の階へ向かった
指定された部屋をノックする
中から若い男の声がする
「……誰だッ?」
「キアラの使いです、早急にお伝えしたいことがあります、開けて下さい!」
「キアラを知っているのか?キアラはそこに居るのか?」
「ボクはコーエン、キアラと街で知り合った者です、彼女が連邦軍の諜報員に銃撃され大怪我を負いました!今はアナハイム社のパイロット、ダイアナさんと合流しています
ボクは秘密裏にキアラから貴方へ連絡があるのです」
少し間を置いて、部屋の扉が開いた
中に入ろうとすると扉の陰から若い少年が銃を構えていた
「まだ信用できない」
「わかってます、それでもボクは貴方に伝えなければ」
「何故、ダイアナを知っている?彼女はグラナダに居てる筈だ!それに自由に動ける立場じゃない筈だ!ここに来れるとは思えない」
「そこまではボクには…?
それよりキアラが撃たれ重症です
キアラから貴方に連絡なんです」
「なんだ、言ってみろ」
「‘時が来た、約束の地へ’」
「それだけか」
「これだけです、意味はボクにはわからない
ボクも諜報に狙われている、アガルタの街からすぐ離れるつもりだ」
「コーエンと言ったか?キミは何者だ?」
「……言っても信じてもらえないかもしれないけど、連邦軍の秘密命令を受けていた
でももうそれはどうでもいい
もう軍は関係ない、ここに居られないがもう戻る場所も無くなってもしまったから」
「ボクはキミをかくまえるほどの余裕は無いんだ、コーエン」
「わかってます、もう連邦軍にもジオンの残党ともどうでもいいんです」
スコットはそれ以上の説明は聞かなかった