
月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第13章 マスドライバー
スコットとクレアがやって来た施設
それはコロニー公社が運営する「マスドライバー射出場」
月の採掘現場から掘り出されたチタニウム、鉄、ニッケルを岩のままの状態で宇宙空間へ打ち出される
それらはスペースコロニーの建設現場まで送られるのだ
ビクトリアの鉱山もここに搬出され、コロニーの資源となっているのだ
「ビクトリア、アンタにいつも世話になってるし、父親からの恩義もあるから今回は協力するが……」
「所長、悪いね? きっとコレっきりさ」
「連邦軍にも、ジオンにも目を付けられたくないんだ…」
「わかってるって!金で足らなければ私の身体を好きにしてもいいぞ?」
「そんなことしたら父親が化けて出るわい」
射出場にはすでに巨大な山のような岩石がレールの上に乗せられている
管理センター塔から岩石に走っていくふたりの姿が見える
スコットとクレアだ
ふたりは岩石の隙間から中へ消えていった
「時間だ」
施設全体にブザーが響く
「所長、向こうに連邦軍とジオンの戦闘が見えるが大丈夫なの?」
「マスドライバーのスピードについて行けるもんかよ、大丈夫さ」
ブザーが止まり、縦に並んだカウントランプが灯る
プ、プ、プ、パーーーーン!
凄まじい爆発音!!
レールの上の岩石が怒号を響かせながら星空の世界へ打ち出された!
「さよなら、クレア」
ビクトリアは旧友との最後の別れを見送った…
