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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第16章 ドミニク隊


「……アイツ、どこ行きやがったッッ!?
 ヨハネス、そっちに見えるか??」



「焦るなよ、シュテファン!追われてるのは向こう、俺達は狩人側なんだ!」


肩のスパイク部分にチームカラーの血しぶきペイントを施したギラ・ドーガがコーエンたちのチャームフューリーに近づいていた


後衛に特化したヨハネスのギラ・ドーガは両肩に巨大なキャノン砲を装備した重装甲仕様で、他の機体よりセンサー類も高機能であった


岩塊の隙間に逃げられては自慢のセンサーでも感知できないが、少しでも動いたらすぐに見つけられる自信が有った


不安なシュテファンをなだめる


ヨハネスは落ち着いていた

最初に見つけるのは俺なのだ、とはやる気持ちを抑えてじっと計器を見つめながら岩塊まわりを飛行する


軽くノズルをひと噴かせしてみろ、すぐに見つけてキャノン砲を食らわせてやる!


ヨハネスはシュテファン機に指で向こうへまわれと指示を出す


シュテファンが派手にまわりを周回させれば敵は焦って行動に移すだろう


万が一、背後をとられたシュテファンが攻撃を受けるかもしれないが、仲間を囮にしてでも敵を探り出す気があった


最初に見つけた者、最後にトドメをさした者はドミニク隊長から褒美がもらえる


それは金であったり、地位であったり、またドミニクの巨漢な肉体であったり


ヨハネスはシュテファンを犠牲にしてでも、その3つの褒美が欲しかった


逆に部隊の誰かがその成果を得た場合、あぶれた者は惨めな扱いを受ける


部隊内での序列も変わるのだ


〈さぁ、餌に食らいつけ!〉



ヨハネスは岩塊の陰に隠れてキャノン砲をいつでも撃てるポジションを確保した



眼の前にはシュテファン機が行ったり来たりして、敵を探り出している



〈動けッッ!!〉



シュテファン機は近辺に機影が無いことを確認するとエリアを変えようとしばらく背中を向けていた


〈動けッッ!!〉



ヨハネスの読みは当たった



シュテファン機の背後をとるように岩塊の陰から飛行形態のチャームフューリー機がゆっくり出てきてビームライフルの照準を合わせようとしてきたのだ



〈……バカめッッ!!〉



ヨハネスはキャノン砲を撃ち込んだ!



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