テキストサイズ

月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第16章 ドミニク隊



僚機のキャノン砲が自分の機体ギリギリをかすめる


シュテファンは背後のディスプレイを素早く確認する



僚機のヨハネス機と自分のちょうど中間あたり、岩塊の隙間から何かが光っている



「見つけたッ!」



シュテファンがバーニヤを噴かせて反転したときにはすでに敵の光りは見失ってしまっていた


だが僚機のヨハネス機が続けてキャノン砲をれんしゃしている


「逃がすかよッッ!?」



シュテファンはロングライフルを構えると僚機と三角形の位置になるようビームライフルを発射した


本来狙撃用の機体なので乱射には向いていない


エネルギーを絞り込んで敵の動きを止める程度に出力を絞る


命中しても破壊までは至らないが、コソコソ動き回る足を止めるぐらいは出来る筈だ


敵の動きを止められたら出力を解放して、得意のロングライフルで蒸発させれば良い


2機の砲撃に隠れながら動く光り


「……アイツ、早いな!?
 まだ合体したままだな?」


ドミニク隊は以前から目をつけていた新型機のデータを金で得ていた


モビルスーツよりも早く、
モビルアーマーより小型で、
そいつは分離したり合体したりを繰り返し、今まで部隊を弄ばれてきた


「グラナダのギラ・ドーガが上か!
 フォン・ブラウンのお前達が上か!
 決着をつけようぜッッ!!」


シュテファンは急加速してチャームフューリーを追った

ヨハネス機の重装備では追いつけまい

今日の勝者は俺だ!!


シュテファンは以前に勝ち取った栄冠を思い出していた


ドミニク隊長は他の女と違い、積極的に快楽を求め、声を上げる


他の女じゃ物足らなくなる


「今夜は……俺のものだッッ!!」



眼の前をジグザグ飛行しながら岩塊を盾に逃げる狐


狐狩り!


だんだん距離が近くなる


勝利は目前だ


シュテファンはライフルの出力を上げた


「今だ!!ギャハハハッッ!!」


ロックオンしたその瞬間!


敵の機影が先程より小さく見えたが、すでに遅かった


「ぶ、分離した…??いつの間に??」



背後をとられたのはシュテファンのほうだった


ビームライフルの連射!!


避けきれない


光りに包まれる


それがライフルの光りなのか、自機の爆発なのか


シュテファンはわからなかった……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ