テキストサイズ

月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第17章 最終章  地球へ



〈ストーム〉をコントロールしていた新たなキアラはモニターでスコットの最期の戦いを見届けていた


すぐさま船外活動用の作業ポッドを十数台送り込み、半壊したGフューリーを回収した


だがその状況は著しく酷く、潰れたコックピットを解体して救出は出来たものの既にスコットの生命はこと切れていた


さらに医療室からクレアの連絡が入る


彼らとともに行動していたキアラの医療カプセルが警告を発している連絡であった


そちらもまた危険な状態であることを示していた


コントロールを任されていたキアラはアクシズからの岩塊の雨を避けながらいままさに大気圏へ突入する間際でとても手が回らなかった


キアラはクレアにスコットのことを言わなかった


いま言ってもどうしようもないだろう


それより今はこの事態を脱せねばならないのだ


クレアには医療カプセルを緊急モードに切り替えるよう指示した


それは医療ではなく冷凍睡眠させ代謝を落とさせることでもあり、弱った身体には一か八かでもある


弱った心臓を助けるかもしれないし、戻ろうとする力を削いでしまうかもしれない


だが大気圏突入の衝撃に耐えられるわけでもなく、こうするしかなかった


またクレア本人にも身体を固定するものは姉妹たちが眠るカプセルしかなく、その中へ入って大気圏突入に備えるよう指示をした



クレアは急いで自分たちのキアラを緊急モードに切り替え、自身も隣のカプセルに潜り込んだ


カプセルに入るとエアパッキンが体を固定し、口元にマスクが降りてくるとガスが満たされ、あっという間に眠りについてしまった



これでこの〈ストーム〉の中に活動している者はひとりだけとなった



ストーリーメニュー

TOPTOPへ