月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第17章 最終章 地球へ
キアラが周囲の確認をする
小惑星アクシズは落下しかけたものの、何故か緑色の発光をし重力に反するように宇宙空間側へ引き戻されてしまっていた
ダイクンの息子による地球寒冷化作戦の第二弾は失敗してしまったのだ
それは地球突入の最期のチャンスであった
キアラは角度を調整しながら衛星軌道上から重力落下のコースをとる
計算では地中海に降りれる筈だ
そのときコックピットルームの扉が開いた
誰も居ない筈の〈ストーム〉の中、自分ひとりしか居ないと思っていたキアラは振り返るのが遅れた
ビュウウム!!!
撃たれた!
キアラは自分の腹からドクドクと赤い鮮血が広がっていくのを見た
力無く振り返ると、見たことも無い男の姿
それは血だらけで片腕と片目を失っていたサフィーネだった
ドミニクの機体から放り出されていたのだ
〈私はアイツのとどめをさすよ!
アンタはそれを伝えるんだ、ドミニク・セバスチャンが最期までやり遂げたってね!〉
そこからドミニクはスコットのGフューリーに最期の特攻を仕掛けたのだった
外に出されたサフィーネは身体をボロボロにしながらもスコット救援の無人ポットに捕まり密かにストーム内に潜り込んでいた
ようやく見つけた管制ルーム
ひとりだけの総従者を見つけて撃ち放ってみたものの、サフィーネ自身も大量の血液を失っており、すでに正気では無かった
撃った相手の身体に蹴りを入れ、シートから落とす
眼をみひらいたままのパイロットはまだ小さな子どもだった
「………子ども?」
サフィーネは愕然として自身も立っていられなくなり、その場に崩れ落ちてしまった
そうして自分も失血し過ぎて息絶えてしまう
コックピットルームは2体の亡き骸を残したまま無人となってしまった……