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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第5章 委員会

「……これからどうする気?」



「グラナダだけじゃなく、月から離れようかとは思っているけど、まだ何もプランは無いんだ

 〈パルダ〉も良いかもしれない…」



「〈パルダ〉? サイド6の?

 どこからその名前が出てくるの?」


「昔、小さかった頃に一度だけ住んでいたことがあるんだ、まだ母が生きていたときに」



「お母さまの出身地なのかしら」


「いや、違うんだ、母も昔はテストパイロットだったんだよ〈パルダ〉で

 なになに機関?研究所?とか言う怪しい組織のね、テストパイロットだったらしいんだ

 ボクを産んでからも仕事は続けていたらしいんだけど、戦後に月へ移住を決めたらしい

 ボクはまだ小さかったから」



「私の方にもね、旦那から久しぶりに連絡が来たの

 フォン・ブラウンにも今回の事件が伝わってるらしくて、詳細を聞かれたわ」


「……」


「? どうしたの?」


「フォン・ブラウンに伝わるわけないんだけどな……、何もかも封印してるんだから、情報規制されるはずなんだけど……」



「……どうして知ったのかしら…」



スコットは黙って考えた


「クレア、ちょっと端末を貸して」



小さなタブレット端末を取り出し、居住区の監視カメラをチェックしていく


ライブで中継されているものをピックアップしていく



「どうしたの? え、これ私の家?」



端末のディスプレイにはクレアが暮らす居住ブロックの建物が映っていた


「ここを見て」



街灯の近くに挙動不審に立ち尽くしている男たちが何度も映り込む


「なに? だれ?」


「軍じゃなさそうだけど、月面公安かもしれない、チェックされてるのかも……」


「そこからフォン・ブラウン市の旦那さんに連絡がいったんじゃない」


「それって、昨夜のことも知られてるってこと?」 


「遅かれ早かれ連絡されてそうだ、いや待てよ」


スコットは画面を切り替えていく


今ふたりが居てるホテル


「ここって」


「うん、公安が張ってるね」


「……旦那にも知られたかしらね」


「ごめん、巻き込んでしまって」


「いいの!どうせこうなっていたと思うから」


「それよりこれからどうしましょう?」


「何とか撹乱して、会社の工房までたどり着けないかな?」


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