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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第6章 逃走

「お待たせ」


モビルスーツのコックピットハッチが開くとダイアナの姿が見えた


「悪い、助かった」


「打ち合わせの公園に姿が無かったから時間がかかっちゃったんだ、こっちに車列が見えたからアイツらのおかげで見つけられた
 笑っちゃうわね」


ダイアナ機のそばにもう一体の機体が近づいてきた


試作機〈ブリジニティ〉だ


「スコッティ、3号機持ってきたぜ」


「チャーリー!」



新しい〈ブリジニティ〉はグレーに塗装された無機質な印象だった


3号機


もともと中隊での連携訓練を想定されてい〈ブリジニティ〉は12機が組み上げられていた


チャーリーは〈ブリジニティ〉の機体をスコットとクレアに託すと自分はダイアナの機体に乗り移った


「狭いって!こっちは複座式じゃないんだよ!
 へんなとこ触んじゃないよ」


「いいから、出してくれ!」


「行こう、みんな」



ダイアナ機の呼びかけに他のモビルスーツたちも同調し、再び月面基地のドーム天井近くまでジャンプした



クレアは複座式シートの上に、スコットは下のシートに鎮座した


グレー色の〈ブリジニティ〉の後ろには同色の無人機〈スプート〉も随伴して飛んできた



「クレア、〈スプート〉のコントロール出来るだろ?」


「私オペレーターよ?あなたより上手いんだから!
 それよりどこに向かうの?」



「決まってる!弔い合戦さッ!」



数台のモビルスーツ軍団は宇宙港のほうへ移動し、移動トレーラーを強奪した


「簡単に進むのが不思議だわ」


クレアは困惑してしまう


「みんなが協力して脱出ルートを構築してくれたんだ

 ヴァレリーたちの事件で皆、決起したのさ」



モビルスーツたちは数台づつトレーラーに乗り込むと次々と月面の荒野を走り出した


目的はあの事件のあった廃工場プラントの施設だ


「あそこに何があるのか、確かめる!」


アナハイム社に所属する試作機のテストパイロットたちは他の宇宙港からも次々と参加してくるらしい


皆、同僚の死や、会社の隠蔽体質に不満を持っていたのだ


徐々にモビルスーツや航宙機の集団が集まっていく


廃工場プラントではすでに戦闘の光が見えてきた


反乱分子たちの総力戦が開始されたのだった


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