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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第6章 逃走

スコットとクレアはホテルの裏から繁華街のほうへゆっくりと歩いていく


チャーリーたちの扮装のおかげで公安たちに気づかれなかった


だがこのまま人混みに紛れたままだといつか発見されてしまう


ふたりは月面基地の天井がドーム状になっている公園の中に身を潜めた


数刻して公園の街路樹の上の方から煙が立ち昇るのが見える


それも何箇所も



「始まった」


「貴重な空気が……」


クレアは大変なことをしていると実感した


月面基地では水と同様に空気税があるくらい貴重なものなのだから


実際の火災ではないとはいえ、心苦しくなる


道路では緊急車両が何台も走り抜けている


街はパニックのようだ


公園の中にもかなりの人が避難してきた


「人がこちらに集まってきた、そろそろ離れようか、街のほうが閑散としているはすだ」


ふたりは人が増えてきた公園を離れる


月面基地の郊外を走るハイウェイのブロック


見通しが効く


二人は植栽の木々に隠れるように道沿いに移動していく


民間人は公園に避難し、警備隊や緊急車両の職員たちは煙の立ち昇る施設に足留めされているためか、ハイウェイを走る電動カーの姿はなかった


そのまま逃げ切れるかと思われたが、上空に監視のドローンが現れた


その数分後には黒い電動カーが何台も現れ、あっという間に取り囲まれてしまった


「逃避行もそこまでだ、スコット・イアン君、まずはクレアさんを開放しなさい
 抵抗すれば容赦はしない、狙撃犯も来ているぞ」


どうやらスコットひとりが反乱者として標的にされているらしい

 クレアを監禁逃走しているように思われている 


スコットとクレアが木陰から出られなくなり、諦めかけたとき

上空から轟音とともに突風が吹き付けてきた!


スコットたちが見上げると数台のモビルスーツが現れた!


みな、見慣れない試作機たちだ


モビルスーツの軍団は対人マシンガンで威嚇射撃をして公安の男たちを後退させた



「退くのはアンタらのほうだよ!」


何台もの黒い電動カーが爆発した


声の主はダイアナ・ギルスベルゲンだ


他のモビルスーツも同僚のテストパイロットたちだろう


ダイアナの機体だけがスコットたちの元へ近づく


仲間の機体は公安たちを追い払うように威嚇をして周囲から離させていく

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