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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第1章 月面基地グラナダのテストパイロット

「謙遜しないでいいわ、他のパイロットはあそこまで加速できていないもの、どうやったの?」


「……クセですよ」


「クセ? あなたの? 機体の?」


「機体のクセです。あの試作機は同時に色んな操作をしてしまうと数秒、ほんとに一瞬の僅かな時間、処理する時間に待ちがかかるんです……」



「そうなの? 大問題じゃない!」


「ボクも昨日の訓練でそれを確信できました
 あと何回か実機で試してから報告しようと…」


クレア・サンデリアは少し考え込んでから顔を上げた


「あなたはそれをどんな原因だと思っているの? システム? エンジン?」


「……そこまでは……、何となくシステムのほうっぽいですけど」



「わかりました、午後からの実機訓練は私がペアを組みます」


「了解しました、よろしくお願いします」


「じゃああとでね、スコッティ!私にはクレアでいいわ」


「ありがとうクレア、ボクのデータを見てくれて」


「いつも見てるわよ、困ったことがあったら相談して、これでも歳上なんだから!」


「はい」



クレアは廊下を歩いていった



あまり話しをしたことは無かったが、年の差の割には気さくな人だったな……、スコットは以前よりクレアを身近に感じた


こうしてスコット・イアンの些細な気づきはクレアに拾われて機体の問題点として修正された


それからはスコットへの扱いが少しづつ変化していった

それまでは量産機の試作機担当ばかりだったのが、少しづつカスタム機のチューニング調整のテストパイロットとして選ばれる回数が増えていった


それまでの流れ作業のような毎日から、やり甲斐のある仕事を任せてもらえる

スコットは充実していった


もう、あの地下の暮らしに戻らないぞ、と強く思うのだった


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