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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第10章 ビクトリア


ビクトリア・ニコラエビナはハイスクールの頃からモビルスーツに慣れ親しんでいた


彼女の父親は重機モビルスーツ乗りであり、小さな会社を経営していたのだ


そのため彼女もプチ・モビルスーツの操縦から始まり、ティーンエイジャーになれば重機モビルスーツまで乗りこなす土木系女子となっていた



宇宙で暮らす者は月面だろうとスペースコロニー出身であろうと珍しいことでもなく、

それはスコット・イアンも、コーエン・ゾーフェン、キャロライン・ウェスティンも皆同じような境遇だ



ハイスクール卒業後、彼女自身は親の会社を継ぐつもりだったが、親の勧めにより〈アナハイム・エレクトロニクス社〉の重機開発部門に就職する


途中、操縦士としての技量を認められ〈戦闘用モビルスーツ〉の開発部門に抜擢されてしまう


彼女には不本意であったが、これも経験と渋々受け入れた


そこの部署でハイスクール時代の友人、クレア・サンデリアと再会することになる


人当たりの良いお嬢様育ちのクレアと、ズケズケ物を言う気性の荒いビクトリアは正反対の性格ゆえに妙に気が合っていた


ビクトリアは〈戦闘用モビルスーツ〉のテストパイロットとして数々の試作機を乗りこなしてきた



とある事故までは



試作機のジェネレーター爆発事故


運が良かったのは一命をとりとめた事


運が悪かったのは後遺症によりテストパイロットを辞職せざるを得なかった事だった



日常生活に支障はなく、数年間のリハビリのあと彼女は父親の会社に戻り〈重機モビルスーツ乗り〉として転職する


鉱山の仕事はキツく、屈強な男たちでも耐えられない者が後を絶たない


ビクトリアはそれでも重機モビルスーツ乗りが天職だと考えていた



そこで知り合った男性セルゲイと出逢い、


恋に落ち、


結婚して親の会社を引き継いだ


そして


わずか一年で結婚生活は終わった…


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