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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第11章 暗殺部隊


次の日

ビクトリア・ニコラエビナはマスドライバー管理センターへ出向いていた


〈アガルム〉の鉱山都市にはビクトリアが経営する鉱山企業がいくつも点在しており、それらが採掘した資源を管理センターへ持ち込む


管理センターは公共機関であり、月面、コロニー公社の2社が所有している


採掘企業から持ち込まれた岩石は成分や量、そして大きさでランクを付けられ買い取られる


あとは管理センターがそれぞれのコロニーに射出する

月の公転の関係もあり、射出時間が決まっていく


ビクトリアは他の経営者と顔を合わせ、現在の買い取り相場を確認したり、管理センターの人間と定期的な打ち合わせをしていく

 特にルナチタニウム合金の原石は高く買い取られ、センターへの要望が常に届いているのだ


「やぁ、ビクトリア社長!サイド7への射出とは珍しいな、どれ、射出時間を調べるから待ってくれ」


馴染みの職員が対応してくれる


月から見て地球の反対側に位置するサイド7のコロニー群

通常は近隣に位置する小惑星〈ルナツー〉から採掘資源は運搬されているが、そのほとんどは鉄資源だ

月のルナチタニウム合金は希少なため〈アガルム〉の街から射出される


サイド7へ射出される岩石は地球の引力圏をかすめて射出される

途中、地球の重力に引き寄せられ、軌道は屈曲して上手く地球の反対側へ届くのだ


そのサイド7射出の方向から地球へ目指すのがクレアの考えだ


「ちょっと待ってくれよ、いまはネオ・ジオンの作戦進行中で制宙圏が複雑なんだよ…
 うーん、やっぱり規制がかかってるな
 どうやら近々また大規模な軍事作戦があるんだろう、地球寒冷化作戦の第二弾ってやつだ」


「え? またやるの?フィフス・ルナを落としたばかりじゃない」


「どの小惑星を落とすのか、我々にはわからんさ!サード・ルナかフォース・ルナか…?
 ルナツーやアクシズは遠すぎるからなぁ

 何にせよこれぐらいやらないと俺たちスペースノイドの人権は守られないってことだ!
 連邦の圧政が続けば月もコロニーも干上がっちまう」


〈アガルム〉の街は月の表側に位置するので連邦の息が強いとは言え、やはり連邦への不満は溜まっている


その蓄積がネオ・ジオンを支援する〈キサンドリア〉のような団体を生むのだった……

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