月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第11章 暗殺部隊
その頃、
コーエン・ゾーフェンとキアラの2人は屋台を眺めながら繁華街を散策していた
「え?キアラはもうここを出るのかい?」
「そうみたい、お姉チャンが言ってたわ」
せっかく知り合えた唯一の知人だったが、翌日には出てしまうらしい
まぁ宿場町で寝泊まりするぐらいだから元々短期滞在だったのだろう
「コーエンはまだ当分ここに居るの?」
「うーん、どうだろう?姉のケガは見た目ほど大した事ないみたいなんだけどさぁ」
そう言ってコーエンはキャロラインのワガママを聞いて、また身体を拭くという名目で朝からマッサージを強要されていた
日常生活に支障はきたしているが、重病人というほど緊張感のある状況ではない
それよりも何者かに狙われていたキャロラインは当分表を自由に歩けないだろう
ここからは動けず、
ここに居る限りは潜伏生活が余儀なくされる
だが、キャロラインの体調が回復したら?
今後はどうする?
そのまま潜伏を続けるのか、
この街を脱出するのか
脱出するにも月面ドームの近くの荒野には2組のチャームとフューリーの機体が残されている
これらもどうするか
コーエンは窮地に立たされている状況を悟った
「……それよりもコーエン、
キミ、つけられてるみたいだよ?」
キアラの言葉にコーエンはギョッとした
狙われているのはキャロラインだけじゃないのか!?
「後ろを振り向くなよ、コーエン
悟られるぞ」
小さな女の子に指示されてしまうことも情けないが、何となくコーエンはこの少女がただの女の子ではないと勘繰り始めていたところだった
「姉さんをケガさせた輩かもしれない」
「そうなのか?目で合図を送っているな
あいつらは2人か3人だな
街のチンピラというよりは組織だっているな
キミ、連邦政府に追われているのか?」
「……バカな!連邦軍は身内みたいなものさ!
ボクらを狙うとすれば〈キサンドリア〉のテロリストだ!」
「テロリスト? え? アハハハ!」
キアラは思わず大きな声で笑ってしまった
「コーエン、キミ単純過ぎるぞ?
ニュースはフェイクだらけだ、テロリストなんてそもそも居ない、ただの内輪揉めがあっただけさ」
「テロリスト報道がフェイク?」
コーエンはわけがわからなかった……