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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第12章 薔薇の谷 編


格納庫の外でターヤも拾うとGフューリーはゆっくり滑走路の方へ進入していく


するとセンサーに反応したのか進入ブザーの警告音が鳴り響き遠くから警備員を乗せたジープが向かってくることに気付いた


「ラーズ、早く行こうよ!捕まっちゃうよ!」

「わかってる、でも残ったオッサンが…」

「イバンは想い人の息子を助けたかったのよ、だからその想いを無駄にしないで!
 てゆうかコックピットが狭いって!
 へんなトコ触んないで頂戴!」


複座式で普通のモビルスーツより広い空間ではあるがそれでも3人が押し込まれてシートはぎゅうぎゅうなのだ


「さぁ、ラーズ」

「わかってるよ、捕まってろ、離陸するぜ」


機体は後方スラスターを最大噴射させ、爆音とともに急発進させる


あっという間に離陸速度まで走り出しそのまま機体は空に浮き上がっていった



若者たちの旅立ちを目を細めながらイバンは見送る

イバンの元に数台のジープが取り囲む


「おいおい、撃つんじゃない、俺だってテロリストたちに脅されてたんだ!
 嘘じゃない、奴ら会社の試作品を持ち逃げしやがったんだ」


ジープから降りてきたのは制服姿の警備員たちではなく黒ずくめのスーツ姿の男たちだ

イバンは不審に思った

「お前ら、警備員じゃないな」


「イバン・バゾフだな?コロニー中を探したぞ
 月までご同行願おうか」


男たちは濃い色のサングラスをかけており表情までは読み取れない


「……アナハイムの者か」


すると男はサングラスを外し笑みを浮かべた


「産業スパイにでも見えるか?
 我々は〈ボードム〉の組織の者だ」


「〈ボードム〉?聞いたことないぞ?
 お前ら何者だ?
 いや、 聞き覚えが……」


「アンタの技術が欲しいそうだ、YESと言えば高給取りになれるかもな?」

「NOと言えば?」

「他の組織に奪われないよう消し去るだけさ」


イバンは咄嗟に倉庫の陰に走り出し、壁に掛けてあった工具に手を伸ばそうとした


ターーン! ターーーン!


乾いた銃の音が倉庫に響く

「チッ、ムダ足になっちまったか、帰るぞ」


男たちは再びジープに乗り込み立ち去ってしまうのだった……


撃たれたイバンは既に痛みは感じなかった

「迎えに来てくれたのか、ガブリエラ…」


イバンは笑って息絶えた……





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