クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第13章 カンドゥラ沖の戦い
地上は悲惨な状況だった
敵味方の機体が折り重なるように積み上がり、焼け野原のような有様だ
戦艦ほどの大きさがある異様な姿のカタストロフマシーン〈ムーンブレイド〉は周囲の山々ごと吹き飛ばしてしまっている
ブルース・ブルースは残骸の陰になっていたおかげで〈ヴェスパー〉の熱照射を受けずに済んだ
かろうじて生き残ったものの、残されたほうが地獄なのかもしれない
「……ヤバいな……、通信機器も焼け切れちまった! あんな戦艦並みのメガ粒子砲を地上で撃つなんて!あのパイロットとんでもないヤツだな
ち、やっぱり自分から移動しないとマズイよな? 援軍は見込めない
なぁに、数年前のあのアララト山での邂逅でも生き残った俺だ! 今回も生き延びてやるさ」
ブルースの青いジムⅢは盾になってくれた友軍の戦車を押しのける
戦車からはいまだに熱を帯びており蒸気が立ち昇っている
おそらく中の兵士たちは生きたまま蒸し焼きにされてしまっただろう
だがこの飛んできた戦車のおかげでブルースの機体は軽い損傷で済んだのだ
ジムⅢはめちゃくちゃに積み上がったモビルスーツやら戦車の残骸を踏み越えて周囲を警戒する
すでにあの巨大な敵機は海の方へ移動したようだ
蜘蛛のようなアームを伸ばして移動する姿が見える
かなり遠方まで進んでいるようだが巨大な姿のため目視でも確認できる
ブルース・ブルースは新兵だった頃に相まみえたあの機体を覚えている
雪の中のアララト山でヤツは同じように敵を蹴散らしていたのだ
“あれは死神だ”
ブルースは鮮明に過去の記憶が蘇る
今回の出動命令が出たときは目を疑った
そして心拍数が上がり、一瞬息が出来なくなった
“アイツだ!”
出動前に拝令した作戦指令書に映し出された画像データを見て、ブルースは過去の惨劇が鮮明に浮かび上がったのだ
「ビビってても仕方がねぇ! アイツの弔い合戦にもなるからなぁ!」
アゼルバイジャンへ先行したアンバー隊が壊滅した報告はブルースにも届いていた
“あのアララト山を生き延びた旧友も此処で散ってしまったのかッッ!?”
ブルースは戻る部隊もなく、遠くに見える敵機を追っていった
勝算も無く………
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