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第2章 【第一章】彼女

「いったい……お前は誰なんだ?」


 僕は鏡の中にいるスレンダーな美里に振り返った。


「颯介、ひどいっ……。私が本物の美里だよ!? 朝からずっと一緒にいたじゃない!」


 スレンダーな美里に余裕の表情は消えていく。


「どうして昔の私を選ぶの? 私……颯介と会えなかった間、頑張って痩せてお化粧もしたんだよ! 今は傷もお化粧で隠せるの。颯介だって、綺麗になったって言ってくれたじゃない! だから騙されないで! 偽物はそっちだよ!」

「……っ……」


 僕はぽっちゃりとした美里とスレンダーな美里を交互に見た。


「違うよ、颯介……。あっちが偽物だよ! 私、家を出たあとの記憶がないの。気づいたらここにいて、鏡の中に閉じこめられていたの! どうなってるかわからないけど、自分に似てる人間がいるなんて、あり得ない! 怖い!」


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