無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　結局俺は死ななかった。
　いや、もしかしたら一度死んだのかもしれない。


「……今日は誕生日なのになぁ……」


　ハッと我に返ると、いつの間にか隣に若い女性が座っていた。


（そうだ……今日は居酒屋にひとりで呑みにきたんだったな）


「すみませ〜ん、梅酒ロックおかわりぃ〜」


　カウンターから女性がお酒の追加を頼む。さっきから同じのを五杯目だ。酔っているのか、ユラユラ身体を揺らしながらスマホを見ていた。


　ふと目が合う。


「……あれぇ？　おじさんも振られちゃったのぉ？　さっきから一人だよねぇ？」

「あんたみたいな可愛い女を振る奴がいるんだな」

「えっ？　あたし、可愛い？　やだぁ〜おじさん、それナンパ〜？」


　キャハッと笑った彼女は、どことなく美里に似ていた。
　そういえば美里の身体を、俺はどうしただろうか？　記憶にない。