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どうして僕たちが…

第2章 柊一

「柊一、おい柊一!」

目を覚ました僕の目に薄汚れた天井が見えた。
慌てて飛び起きると白いベットに寝かされていた。
病院では無いけど似た印象の場所、消毒液の匂い…保健室だ。

「大丈夫か?」

俺の横には同級生の菊川純が座っていた。

「ああ、大丈夫だけど…イッ!」

ズキンと頭に痛みが走った。

「頭、ちょっと怪我してるって。大したことないみたいだけど。」

純は俺を真っ直ぐ見つめる。

「何があった?」

「え?」

不信に思う。
アレを見て無いのか?
純は頭脳明晰で鋭い人物だ。
気付かないはずが無いのだ。

「純、聞きたいんだけどさ、僕が倒れていた時、側に誰かいたり何かがあったり不思議なこと無かったか?」

「え?別にお前が倒れていること以外には別段特に変わった様子は…あ、そうそうコレ、拾ったんだっけ?」

純が見せてくれたのは女性もののヘアピン。
女生徒がよく付けているような赤い薔薇の飾りが付いたヘアピンだ。

「学生課に届けに行こうかと思ってたんだ。お前の落とし物のはずが無いし。」

純のことだ。
多分、もう自分の知り合いの女の子、水沢灰音や菊川美奈や相沢瞳さんあたりには確認は取っているのだろう。
その時

「柊一!大丈夫か?」

友人の如月空が駆け込んできた。

「ん。大丈夫。」

僕は体を起こす。
ずっと寝ていられない。
純が気付かなかったら、如月も気付いて無いだろうな。
如月はあとで保健室に駆け込んできたことから、純から知らせを受けてきたようだからあの現場にいなかったことになる。
女子たちは授業中だったらしく、この時間帯に空きコマだったのが純と如月だけだったらしい。
僕は黙っておくことにした。
見なかったことにするのが正解らしい。
倒れたことについては…貧血で倒れて頭を打って怪我したことにした。
誰も疑わなかった。
だから僕は何も起こらないと思った。
きっと大丈夫だと…

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