テキストサイズ

時給制ラヴァーズ

第4章 4.センターラインを越えて

 正直なところ、やっぱりさっきのことが忘れようにも忘れられないでいるんだ。
 本物の恋人同士のインパクト。男同士で付き合っているということの本物。

 だってあれが本当の恋人なら、俺なんかただの居候で、実際したことといえば遊園地で遊んで写真を撮ったくらい。他に役に立つようなことはしていない。
 ご両親に会わせる用のハリボテの恋人だとしても、こんな突飛な案を実行しようとしてるくらい追い詰められている慶人に俺はなにも出来ていないと気づいてしまったから。

 だから俺で出来ることがあるなら、と酔いに任せてあまりよく考えずに提案してみた。
 その、俺にとっても突然だった提案を聞き、慶人の頭の中で、色々なことが目まぐるしく動いている音が聞こえる気がする。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ