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時給制ラヴァーズ

第4章 4.センターラインを越えて

「んっ」
「大丈夫そう?」
「う、ん、なんか変な感じ……っ」

 探るようにゆっくりと動かされて、息が詰まりそうになる。
 過剰に使われたローションのせいか、ぬるぬるのそれが「指」って感覚がしないせいで具体的な違和感はない。だけどやっぱり自分の中に自分の意思とは別に動くものがあるってのは、どうにも変な感じだ。
 それに、なにより音が気になる。
 こんな状態だから当然口数は少なくなるわけで、そのせいで慶人が指を動かすたびに響くぬめった音が恥ずかしい。

「あ、……ふ、ぅ、あ」

 そこにあった枕の端を握り締めて羞恥に耐える間、慶人は指を抜き差しするように動かし丁寧に慣らしてくれた。
 ゆるりと、丁寧に、焦らすみたいに、中で動いて、気持ち良くて。
「……あっ、え? きもちいい……?」
「!」
 自分で思ったことが信じられなくて、思わず洩らした言葉に慶人が体を揺らす。そしてその指が二本に増やされ、くちゅくちゅと動く音が大きくなった。
 それに耐えきれなくて枕で顔を隠す。さすがにこれはちょっと恥ずかしすぎる。なにより、なにかすごくやばい気がする。

「け、けーと、もういいんじゃないかな……っ」

 丁寧なのはありがたいけど、大事なのはそこじゃないと思う。

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