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時給制ラヴァーズ

第4章 4.センターラインを越えて

「慶人も、そーゆーことあるんだね」
「え?」
「いつも色々達観してる感じだったから、こう、理性がぶっ飛んじゃうことってあるんだなぁと思って」

 いつでもテンションの高い俺と違って、慶人はいつでもクールで、余裕があると言うか大人っぽいから、感情とか衝動で動くことはないと思っていた。
 だけど自分のベッドの端にしょんぼりと座ってる慶人は、なんていうか普通の男の子って感じで毒気を抜かれてしまう。
 元々モテるのにご両親のプレッシャーのせいでずっと彼女がいなかったんだから、そういう道具を使うことで性的にムラムラ来ちゃったのは仕方ないと言えば仕方ないと思う。その時にたまたまそこにいたのが俺だった、ってことなんだろうし。

 そもそも言い出したのは俺なんだ。思った以上に酔っていたらしく、あんな状態の時に煽るような真似した俺にも責任の一端はある。
 わざわざ道具を使おうって誘ってるんだもん。いくら浮世離れした慶人だって普通の大学生男子で、あんな状況で暴走したっておかしくない。

「怒ってないのか? 気持ち悪いとかは?」

 そうやって納得する俺とは別に、慶人は心底驚いたように目を丸めた。

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