『ミニチュア・ガーデン』第1章「無」　10ページ

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ミニチュア・ガーデン

第1章無

　皿洗いを終え、ラークはソファに座っているガルクの隣に座る。
「今日も暑くなるんだよなぁ」
　早速そんな事をぼやき、ガルクはクスリと笑う。いつものぼやきに、安心感すらある。
「涼しくしてやろうか？」
「ん？」
　振り向いたラークの虚を突く形で、ガルクは細い手を掴み、自分の体に密着させる。やや驚いた彼は、腕の中でモゾモゾと動くが、すぐに落ち着く態勢を見つけて動かなくなる。それは、ガルクにされるがままになる、と言う態度でもあった。
　だが、ガルクは今は彼をすごしやすくすると言う目的だけで、それ以上の事をするつもりはない。
　触り心地の良い髪を通して形の良い頭を掴み、自分の胸に押し当てる。彼の少し苦しそうな呼吸を感じながら、体温を一定に保つ魔法をかけてやる。今は判らないだろうが、日が高くなれば判るだろう。その程度の魔法だ。
「これで、今日は涼しいぞ？」
　頭を掴んでいた手を離すと、彼は実感してないらしく、キョトンとした顔で至近距離から見つめて来た。
「何をしたんだ？」
「そのうち判る」
　そう答え、笑みを浮かべる。それから、さりげなく体を離す。これ以上密着されると、キス以上の事をしたくなる。