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　二人で並んでテレビを眺めるが、いつもと同じニュースで、政治家の汚職か疑惑浮上、殺人事件、交通事故、虐待事件、芸能人の熱愛報道など、明日には忘れてそうな内容ばかりである。
「子供が死ぬ事件は嫌だなぁ」
　ラークはそう漏らし、虐待死事件の概要を説明していたテレビを消して黙らせた。
「どうしてそんなに嫌がるんだ？」
　その理由を知りながら、ガルクは問いかける。
　彼はまだ幼いと言える時期から、ほんの数年前まで酷い環境の中で育った。暴力、セックス、ドラッグ、殺人と、暗い闇の中に叩き落とされていた。彼が嫌がる事というのは、その頃の体験が元になっているのが殆どなのだ。
「子供は、無力だからさ。無力な子供が大人の都合で人生を左右されるなんて、間違ってるよ」
　ラークはそう答える。
　その言葉の裏に張り付いているのは、親に売られた子供の存在だ。そして、その中には自分自身も含まれている。
　栄養状態も、生活環境も絶望的な中で、ろくな抵抗も出来ず、面白半分に振り下ろされる暴力に何度気を失ったのか、本人ですらいちいち覚えてはいない。それをつぶさに見ていたガルクも然りである。