ミニチュア・ガーデン
第6章 喪失した道
彼と最初、どんな出会いをしたのかガルクは思い出せない。覚えているのは、彼に対する嫌悪感。心身共に酷い状態だった彼と関わる事に対する激しい拒否感とも言える。
それでも、彼と共に生活していたのは、その時の親友の存在だ。王位を継ぐガルクの影武者として育った、あまりに出来た従兄弟が、哀れな彼に救いの手を差し伸べていた。その頃ガルクは夜遊びと言う楽しさを知っており、苦労する従兄弟と不安定過ぎる彼の当てつけも心のどこかにあり、毎日朝まで遊んでいた。
必死に彼を救おうとしていた親友は、その彼の目の前で事故に遭い、亡くなった。その時のガルクはショックに今にもパニックを起こしそうな彼を、酷く責めたてた。彼は様々な激情を細い体と、脆い心に押し込め、ガタガタと震えながら耐え、ガルクに赦しを求めた。
あの頃の自分は本当に酷いやつだった、とガルクは苦い記憶を噛み締める。自分の事しか考えず、楽しさしか求めていなかった。従順な彼の態度に腹を立てて暴力を振るい、酷く痛めつけた事すらあったが、それでも正気の間は抵抗せず、パニックを起こしてガルクを傷つければ後で必死に謝ってくる程だった。
そんな様子に、次第にガルクも怒りの矛先を向けられなくなり、ある日、思わず振り上げた拳に怯える彼を見て、もう殴れなくなっていた。そして、その拳を開き、俯く彼の頭を撫でた。謝罪の言葉は出なかったが、彼の怯えた瞳に戸惑いが混ざり、しっかりとガルクを見た後に浮いた驚きの表情が、その時の感情を理解してくれたのだと信じている。
それでも、彼と共に生活していたのは、その時の親友の存在だ。王位を継ぐガルクの影武者として育った、あまりに出来た従兄弟が、哀れな彼に救いの手を差し伸べていた。その頃ガルクは夜遊びと言う楽しさを知っており、苦労する従兄弟と不安定過ぎる彼の当てつけも心のどこかにあり、毎日朝まで遊んでいた。
必死に彼を救おうとしていた親友は、その彼の目の前で事故に遭い、亡くなった。その時のガルクはショックに今にもパニックを起こしそうな彼を、酷く責めたてた。彼は様々な激情を細い体と、脆い心に押し込め、ガタガタと震えながら耐え、ガルクに赦しを求めた。
あの頃の自分は本当に酷いやつだった、とガルクは苦い記憶を噛み締める。自分の事しか考えず、楽しさしか求めていなかった。従順な彼の態度に腹を立てて暴力を振るい、酷く痛めつけた事すらあったが、それでも正気の間は抵抗せず、パニックを起こしてガルクを傷つければ後で必死に謝ってくる程だった。
そんな様子に、次第にガルクも怒りの矛先を向けられなくなり、ある日、思わず振り上げた拳に怯える彼を見て、もう殴れなくなっていた。そして、その拳を開き、俯く彼の頭を撫でた。謝罪の言葉は出なかったが、彼の怯えた瞳に戸惑いが混ざり、しっかりとガルクを見た後に浮いた驚きの表情が、その時の感情を理解してくれたのだと信じている。