ミニチュア・ガーデン
第6章 喪失した道
世界の最初に創るのは、彼だ。
ガルクと彼の遺書しかない世界で、最初に創造して存在するのは彼だ。
彼を中心に世界を創る。
彼が好きだったもの、気に入っていたもの、嫌いだったもの、なんとなく使っていたもの、毎日見ていたもの、彼越しにガルクが見ていたもの……。そして、世界は中途半端に創られる。彼と全く関わりのない物が存在しない、不完全な世界。だが、ガルクにはそれで良いのだ。不完全故に永くは保たないが、彼が生きている間だけ存在していればそれで良い。世界などそれ位しか価値がない。
ガルクが目を開くと、彼と二人で暮らしたアパートの一室にいた。その中でも、ガルクの部屋として使用していた部屋のベッドの上だ。
隣の部屋には、今は正気に戻りつつあるラークと、親友であり、従兄弟であり、影武者であるフェイクがいる。薄い壁越しにボソボソと声が聞こえるので、二人とも起きているのだろう。時間は昼に近く、暑さに弱いラークを、暑さを理由に外に出ようとフェイクが説得しているのだ。調子が良い時は外に出るが、悪い時はうずくまったまま動かないような、そんな状態だったはずだ。
ガルクはベッドから降り、軽くシャワーを浴びようとバスタオルなどを持ってリビングに出る。その音に気づいたか、フェイクが隣の部屋から顔を出す。
影武者として育てられたフェイクは『偽物』の名が示す通り、ガルクと瓜二つである。元から似ている顔に数回メスを入れた事により、浅い関係ならば見分けがつかない程だ。
ガルクと彼の遺書しかない世界で、最初に創造して存在するのは彼だ。
彼を中心に世界を創る。
彼が好きだったもの、気に入っていたもの、嫌いだったもの、なんとなく使っていたもの、毎日見ていたもの、彼越しにガルクが見ていたもの……。そして、世界は中途半端に創られる。彼と全く関わりのない物が存在しない、不完全な世界。だが、ガルクにはそれで良いのだ。不完全故に永くは保たないが、彼が生きている間だけ存在していればそれで良い。世界などそれ位しか価値がない。
ガルクが目を開くと、彼と二人で暮らしたアパートの一室にいた。その中でも、ガルクの部屋として使用していた部屋のベッドの上だ。
隣の部屋には、今は正気に戻りつつあるラークと、親友であり、従兄弟であり、影武者であるフェイクがいる。薄い壁越しにボソボソと声が聞こえるので、二人とも起きているのだろう。時間は昼に近く、暑さに弱いラークを、暑さを理由に外に出ようとフェイクが説得しているのだ。調子が良い時は外に出るが、悪い時はうずくまったまま動かないような、そんな状態だったはずだ。
ガルクはベッドから降り、軽くシャワーを浴びようとバスタオルなどを持ってリビングに出る。その音に気づいたか、フェイクが隣の部屋から顔を出す。
影武者として育てられたフェイクは『偽物』の名が示す通り、ガルクと瓜二つである。元から似ている顔に数回メスを入れた事により、浅い関係ならば見分けがつかない程だ。