
ミニチュア・ガーデン
第6章 喪失した道
「ガルク」
フェイクの呼び声をガルクは無視する。流石に今はあまりに気まずい。
「ガルク、聞いてくれないか?」
フェイクの口調は動揺の色が見えるものの、咎める様な物ではない。判っていてもガルクには呼び声に応える勇気はなく、無視をする。そこには、まだ硬く、質量と熱を持った性器を悟られるかもしれない羞恥心がある。
扉の向こうでフェイクがため息を吐いた気配がし、ガルクは反射的に背中を向ける。すると、フェイクが扉を開け、入って来ると閉めた。
「なあ、聞いてくれ」
声を潜め、フェイクは訴える。ガルクは肩越しに視線を向け、真剣な表情の彼を見る。
「ラークのあの行動には深い意味なんかないんだ。あの人にしたら、挨拶程度でしかない。だからーー」
「違う。そんなに軽い物じゃない」
フェイクの弁解の言葉を遮り、ガルクは視線を向けたまま言う。
「俺に気に入られたいからだろ? お前にもあんなキスするのか? しないだろ?」
ガルクの言葉にフェイクは言葉を詰まらせる。
確かにフェイクは精一杯にラークを知ろうとしていた。汚い過去も、虐げられて恐ろしい記憶も、理解して受け入れようとしていた。だが、記憶も心の内も見通せるガルクには及ばない。同じ様にキスしようとしても、フェイクはやんわりと拒否して「挨拶はそうじゃない」と教えただけで、媚を売っているとは知らなかったのだ。
フェイクの呼び声をガルクは無視する。流石に今はあまりに気まずい。
「ガルク、聞いてくれないか?」
フェイクの口調は動揺の色が見えるものの、咎める様な物ではない。判っていてもガルクには呼び声に応える勇気はなく、無視をする。そこには、まだ硬く、質量と熱を持った性器を悟られるかもしれない羞恥心がある。
扉の向こうでフェイクがため息を吐いた気配がし、ガルクは反射的に背中を向ける。すると、フェイクが扉を開け、入って来ると閉めた。
「なあ、聞いてくれ」
声を潜め、フェイクは訴える。ガルクは肩越しに視線を向け、真剣な表情の彼を見る。
「ラークのあの行動には深い意味なんかないんだ。あの人にしたら、挨拶程度でしかない。だからーー」
「違う。そんなに軽い物じゃない」
フェイクの弁解の言葉を遮り、ガルクは視線を向けたまま言う。
「俺に気に入られたいからだろ? お前にもあんなキスするのか? しないだろ?」
ガルクの言葉にフェイクは言葉を詰まらせる。
確かにフェイクは精一杯にラークを知ろうとしていた。汚い過去も、虐げられて恐ろしい記憶も、理解して受け入れようとしていた。だが、記憶も心の内も見通せるガルクには及ばない。同じ様にキスしようとしても、フェイクはやんわりと拒否して「挨拶はそうじゃない」と教えただけで、媚を売っているとは知らなかったのだ。
