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ミニチュア・ガーデン

第6章 喪失した道

「ガルク、心配ならこっちにおいで」
 フェイクがしっかりとガルクの方を見て言い、彼はギクリとする。
 ガルクは扉を隔てて部屋に居る。二人の様子が見えるのは、そういう風にしているためであって、それはガルクしか出来ない事であり、それを察知出来る存在はいないはずだ。それなのに、フェイクはそのあらゆる法則を無視したガルクの視線を感じ取り、驚きもせずに呼びかけている。
「ラーク、大丈夫だからな?」
 ガルクの動揺を知ってか知らずか、フェイクはいつもとなにも変わらず、ラークに声をかけたと思うと扉を開けて、入って来る。そのあまりに堂々とした様子にガルクは思わず後退り、フェイクは苦笑する。
「どうしたんだ? そんな、失敗のばれた子供みたいな顔して」
 動揺している様子もそんな風に言って穏やかに笑い、ガルクは絶句する。
 自分が手に入れた力は、容易く世界の全てを破壊・創造出来る程に強大だ。それは唯一無二の物であり、だからこそガルクは何もない世界に独りきりで取り残されているのだ。それを、自分が創造した物の一つである従兄弟であり、親友であるフェイクが見破った、と言う事になる。
「フェイク」
「なんだ?」
 振り向いた彼の心を覗き込めば、彼はそこまで正確に見抜いていないと見て取れたが、ガルクが確実に普通ではあり得ない力を持っている、と確信していると知る。

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