ミニチュア・ガーデン
第1章 無
ラークの誘いの手を掴み、ガルクは歩き出す。彼の視線は道の先であり、それを追う様にガルクも顔を上げる。
観光地として有名な南国の島であるが、二人の住む場所は住宅街なので、建物自体に目立つ特色はない。強いて言うならば、大きな窓が多く見られるのと同時に、治安の悪さから格子と生垣などの塀が目立つ所だろう。
真っ青に晴れた空には雲が無く、一点の曇りも無いブルースクリーンは吸い込まれそうで、物悲しさすら感じる。まるで、底の無い青の中を落ちている様な、形の無い不安感をもたらす。
「今日は人が少ないな」
ラークの涼やかな声にその方を見ると、ガルクにとっての唯一の現実であり、幻である彼がどこか寂しそうな表情で街を見ていた。
言われてみると、人の姿どころか、車の通りもなく、聞こえてくるはずのざわめきもない。風と波の不規則な音が住宅街に流れているだけだ。
「俺は、ラークが居ればそれで良い」
ガルクは思った事を口にする。あまりに自然すぎて、自分でも驚くようなセリフだった。
観光地として有名な南国の島であるが、二人の住む場所は住宅街なので、建物自体に目立つ特色はない。強いて言うならば、大きな窓が多く見られるのと同時に、治安の悪さから格子と生垣などの塀が目立つ所だろう。
真っ青に晴れた空には雲が無く、一点の曇りも無いブルースクリーンは吸い込まれそうで、物悲しさすら感じる。まるで、底の無い青の中を落ちている様な、形の無い不安感をもたらす。
「今日は人が少ないな」
ラークの涼やかな声にその方を見ると、ガルクにとっての唯一の現実であり、幻である彼がどこか寂しそうな表情で街を見ていた。
言われてみると、人の姿どころか、車の通りもなく、聞こえてくるはずのざわめきもない。風と波の不規則な音が住宅街に流れているだけだ。
「俺は、ラークが居ればそれで良い」
ガルクは思った事を口にする。あまりに自然すぎて、自分でも驚くようなセリフだった。