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「……俺は、少し寂しいな」
　遠慮がちに彼は口にする。
「ガルクが居ればそれで良いって思うところもあるし、人間なんて居なくて良いって思う事もあるけど、でも、本当に世界で二人きりだったら、寂しいな」
　そう言って、同意を求める様に、ガルクを見て微かに笑った。
　彼は、ここに来るまで大勢の人間に酷い事をされて来た。全てではないにしろ、彼の過去は凄惨の一言に尽きる。
　幼いと言える年でたった一人、路上生活を強いられたと思えば、突然誘拐されて売春を強要される事も何度もあり、その内容もサディスティックを極めたと思えるレベルの事もあった。使い物にならなくなったと思えば、ゴミとして捨てられ、また路上生活。運良く奇特な人に拾われたと思っても、何故か決まって数ヶ月すると虐待が始まり、売春宿よりはマシだと我慢していても結局は売られてしまう。いつしかそれが性商売のところだけではなく、殺し屋まで含まれていったのだ。
　彼が言うには、幾度となく自殺しようと試みたのだが、死に切れずにそれ以上の酷い仕打ちを受け、自分が生きているのか死んでいるのかも判らなくなったそうだ。