ミニチュア・ガーデン
第1章 無
本とCDを取り扱うショップに入ると、ラークは真っ直ぐにCDコーナーの方に向かう。彼は本も好きだが、音楽も好きなのだ。
とはいえ、どの歌手が好きとか、どのジャンルが好きとかと言った事はなく、流行の物から、古い物、どこで見つけたのかと思うようなマイナーな物、果ては童謡まで、驚くほどに幅広い。
最近はオルタナティブのとあるグループがお気に入りで、今日もまずはそのコーナーに向かうのだが、新作が出ているはずも無く、背表紙を眺めているだけだ。
「この前も買わなかったか?」
ガルクが意地悪く言うと、彼はそうだっけ? と首を傾げる。
「この前っていつだっけ?」
そう問われ、ガルクは言葉に詰まる。
彼の子供の頃は知っているが、その頃の彼は自分を知らない。彼が何をして苦しんでいたのかをつぶさに見ていたのだが、彼はそれを知らない。
だが、彼と共に過ごし始めた時期を思い出せない。
それなりの時間を共にしたはずなのだが、最初の頃と言うのを全く思い出せない。
「……どうした?」
動揺に言葉を発しないガルクを疑問に思った彼が声をかけ、ハッとする。
とはいえ、どの歌手が好きとか、どのジャンルが好きとかと言った事はなく、流行の物から、古い物、どこで見つけたのかと思うようなマイナーな物、果ては童謡まで、驚くほどに幅広い。
最近はオルタナティブのとあるグループがお気に入りで、今日もまずはそのコーナーに向かうのだが、新作が出ているはずも無く、背表紙を眺めているだけだ。
「この前も買わなかったか?」
ガルクが意地悪く言うと、彼はそうだっけ? と首を傾げる。
「この前っていつだっけ?」
そう問われ、ガルクは言葉に詰まる。
彼の子供の頃は知っているが、その頃の彼は自分を知らない。彼が何をして苦しんでいたのかをつぶさに見ていたのだが、彼はそれを知らない。
だが、彼と共に過ごし始めた時期を思い出せない。
それなりの時間を共にしたはずなのだが、最初の頃と言うのを全く思い出せない。
「……どうした?」
動揺に言葉を発しないガルクを疑問に思った彼が声をかけ、ハッとする。